結局何が変わった?変わってない?電力自由化

実際に電力自由化で変わったこと

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電力会社は増えた

単純な数として、大手だけだった電力業界に企業の数は150以上に増えました。地域によって数に差はありますが、関西関東などだと、比較だけで結構な手間になるほどの数があります。ガス会社などのインフラ企業の参入が多いです。

東電から大流出

上記のように企業の数が増えた結果、特に東京電力から他社に乗り換えた人が増加しました。これは乗換えをおこなった総人数の約60%になります。やはり東日本大震災での対応により、世間からの評判が落ちたためと思われます。他にも、新規参入の多い都市部や、あの震災を機に電気代を値上げした電力会社から流出が起きています。単純な料金の問題だけでなく、電力会社の対応に不満を覚えた人間も乗り換えの層になるようです。

料金規制の一部撤廃

これは正直マイナス面が大きいかもしれません。今までの電力業界が独占状態で不健全だったのは確かなのですが、その分政府が規制という形で料金を一定に維持するよう指導していたのです。それが電力自由化にあたって一部撤廃となり、市場競争に任せようという部分が作られました。これで本当に競争原理から電気代が安くなればいいのですが、業界のかつかつ具合から見て逆になるのではないかという予想がよくされています。

既存の会社のプラン変更

上記のような展開や、新規ライバルの対応のために、既存の電力会社がブランや売り出しを変更していたりします。新規企業の変化だけでなく、既存企業の変化も電力自由化のひとつの側面ですね。

結局変わっていないこと

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料金そんなに変わってない?

もちろん会社によって電気料金は異なりますが、顕著な例でいえば、大手から新規に乗り換えて節約できる電気代は、月に数百円、年間10000円程度といわれています。年間10000円といえばどうでしょう。人によって違いの大きい小さいが変わるかと思いますが、大手広告会社のアンケートによれば、電気代が10%以上変わらないと乗り換える気にならないという人が半分以上いるそうです。微妙なラインですが、実際そのレベルだと

  • 面倒、よくわからない
  • 大手なら安心

といって変えない人も多いようです。特に、小額しか使用しない一人暮らしの世帯などは割引も小さいので、変化が年間数千円になるようです。

電力会社を変更した世帯は全体からするととても少ない

総消費者の数%、それが電力自由化から乗り換えを行った世帯の数です。東電からの変更がその半分以上を占めているのですから、全国的にはもっと少ないのをイメージできます。理由としては、上記で示した

  • 料金変化の少なさ
  • 比較の複雑さ

もありますが、やはり

  • 広報が足りない

という面はあると思います。同じような仕組みを行っている携帯会社のMVNOは最近CMがどんどん増えてますよね。そもそも認知がされていないと始まりません。他に、詳しい人の間では

  • むしろ料金はあがるのでは

との話が流れています。欧州の前例を見ると、電力自由化の後は電気代は安くならずに値上げに向かってしまっています。そういった事情をしっている人、知らない人も、この新しい展開に対して、積極的になるより慎重になる要素のほうが多いのかもしれません。

発電方法は別にクリーンになったりしませんよ?

新規参入の会社は別に新しく発電所を作って新しく電力会社を興したわけではありません。先ほど述べたようにインフラ会社が新規事業として参入し、既存の電力会社の発電所、送電網等をお金を払って借りているのです。(これが電気料金が大幅に下がらない理由のひとつでもあります)

よって、「電力自由化で好みの発電方法の企業を選ぶ選択肢が増える」などという期待はしないでください。あなたが選べる企業は、あなたの地域の既存企業の発電システムを使っています。それは発電インフラの高額さと、移動できない地域性からどうしても決まっているのです。

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