電力小売の完全自由化で受けられる恩恵と注意点について

電力は安定市場から競争の時代へ

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選択肢がなかった電力の供給源を選べるように

電力自由化というのは段階的に進行してきた計画で、すでに2000年には大規模オフィスビルや商業施設、大規模の工場などの大口顧客に対して特別高圧契約の自由化が始まっています。続いて2004年には中規模工場や中小ビル、さらには2005年から50kw以上の契約施設に向けても自由化契約ができるようになりました。そして今回、家庭や小規模施設向けの低圧電力の供給が新たに自由化されます。

一般家庭で電気を使用しようと思ったら、暮らしている地域の担当電力会社と契約をしなければなりません。これまでは地域独占商売であり、発電も送電も全て地域にある電力会社が担っていたのです。選択肢はなく、何の疑問もなく契約を結んでいたというかたも少なくないでしょうが、これからは複数の電力会社の電気代などを比較検討し、電気を買う側が購入先を選べるようになります。

多種多様なサービス展開に期待できる

電力自由化によって、一方的に結ばざるを得なかった電力会社との契約が、複数の選択肢から能動的に選択できるようになるため、お得に利用するためには選ぶ側にも相応の知識と判断力が求められるようになります。実際自由化に伴い、既存の電力会社も新規参入する業者もさまざまなプランを打ち出しており、顧客獲得のために動き始めているところです。

電気代の支払いに応じてポイントが貯まっていくサービスや、これからの時代求められる風力や太陽光で発電された再生可能エネルギーのみを供給するサービスなども需要が高まることを期待されていて、計画している業者は少なくありません。

最も判りやすいのは、従来の電力会社から乗り換えてもらえるように基本料金プランを安く設定するというものでしょう。これまでは料金が高額になっても使うしかなかった電気が、多様なサービスから自分に合ったプランを探して契約できるようになるのです。

電力自由化で知っておきたいポイント

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どんな電力会社と契約をすればいいのか

まず一つ言えるのが、電気には品質がないということです。安くて悪い電気、高くて質のいい電気という区別をしなくてもいいので、電力供給を受ける際には、

  • ライフスタイルに合ったプランを提供している
  • ポリシーに適った発電方法である
  • 料金が安い
  • 安定した供給を受けられる

といった基準で選ぶことができます。あとはその会社の実績を確認して、万が一の際の対応がしっかりとしている信用度の高い業者を選ぶのが安心でしょう。また、新規参入業者の中で、すでに何らかの形で利用したことのあるところを選ぶという方法もおすすめです。

電気の安定供給は保証されているのか

電力自由化で新電力へ切り替えても、安定して供給されるのか懸念を抱いているというかたも多いでしょう。確かに一部の新規参入業者には経営体質が脆弱で、充分な発電施設が確保されていないというところもありますし、そういった業者を選んでしまうと電力供給が不安定になるのではないかという不安は生まれます。

実際こういった問題は、すでに一般家庭を対象に電力自由化を行っている海外でも起きているものです。そのため日本では、予め電力の需要と供給を管理する体制が構築されています。管理された下で電力供給を行っていますから、大規模停電を引き起こしてしまうような事故の心配はありませんし、安定は保証されていると見て問題がないでしょう。

電気代は必ずしも下がらない

注意したいのが、必ずしも新電力の使用で電気料金が安くなるとは限らないということです。もちろん顧客獲得のために最初に低価格料金を打ち出す業者は多いでしょうが、料金設定に上下制限がないため、後々の値上がりがないとはいえません。

ただし、安定から競争市場へと変貌した電力業界です。うまく利用をすれば、以前よりもお得に電気料金を節約できることは間違いありませんから、利用する側も常に市場をチェックして賢い消費者になることが求められます。

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